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【小寒】日本文化の中の雉(きじ)って?

一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、

それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。

 

ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。

 

1月16日~1月20日頃は、二十四節気で言うと「小寒」、

七十二候は「雉始雊(きじはじめてなく)」と名付けられています。

 

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今回の七十二候は、

雉のオスが求愛のために鳴き始める時期になったことを示しています。

 

雉の鳴き声は、よく「ケーンケーン」と表現されます。

「ケーン」と1回ではなく、「ケーンケーン」と2回鳴くのが特徴です。

 

雉は日本の国鳥に認定されていますが、

なぜ雉が選ばれたのかというと、

 

・体の色が全体的に美しい緑色をしている雉は日本の特産

・一年中見ることができ、人里近くでも目にすることができる

・昔話などに登場し、馴染みがある

 

といった理由があるからだそうです。

 

雉は地震を予知する力があるとされるなど、

ちょっと不思議な力を持った存在として、親しまれていました。

 

 

雉は日本神話の中にも登場します。

それは「鳴き女」と名付けられた雉です。

 

オオクニヌシという神が、地上(日本)を治めていた時代。

天の世界の統治者であるアマテラスは、天の神が地上を治めることを決めます。

 

そこで地上のオオクニヌシの元に、自分の遣いの神を派遣するのですが、

その神はオオクニヌシの側についてしまい、帰ってきません。

 

別の神を派遣したところ、またしても帰ってきません。

 

そこでアマテラスは、「鳴き女」という雉を地上に派遣して、

帰ってこない神に対して、なぜ任務を果たさないのか問いただそうとしたのです。

 

可哀そうなことに、「鳴き女」はオオクニヌシ側についた神に矢を射られて、

亡くなってしまうのですが、

 

アマテラスの使いとして雉が選ばれているということは、

古代から日本人は、雉に何かしらの神秘性を感じていたのだろうと思います。

 

 

また雉には、こんな逸話もあります。

 

雉は、自分の住んでいる野が火事になると、自分の身の危険を顧みず、

巣に戻って我が子を守ろうとするのだそう。

 

そこから、「焼野の雉(雉子)」ということわざができ、

親が子を思う深い情のたとえとして、使われるようになりました。

 

 

雉が国鳥に選ばれたのは、

単に日本人に親しまれているから、というだけでなく、

こういった雉の美しい心根が好まれたからなのかもしれませんね。