一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、
それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。
ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。
11月13日~11月17日頃は、二十四節気で言うと「立冬」、
七十二候は「地始凍(ちはじめてこおる)」と名付けられています。
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気温がますます下がり、大地が凍り始める時期になりました。
「こおる」は通常「凍る」と表記しますが、
元々の意味からすると、水がこおることを「氷」、物がこおることを「凍」と表すのだそうです。
「凍」は「こおる」以外にも、様々な訓読みができます。
凍つ(いつ) ← なじみのある言い方だと「凍てつく」
凍む(しむ) ← なじみのある言い方だと「凍み豆腐」
凍ゆ(こごゆ)
「いつ」という読みをするのは、次のようにたくさんの熟語があります。
<凍りつくように寒々とした様子を表したもの>
凍風(いてかぜ) 凍雲(いてぐも) 凍星(いてぼし)
<動物が寒さにじっとしている様子を表したもの>
凍鯉(いてごい) 凍亀(いてがめ) 凍鶴(いてづる)
なかなか聞き馴染みがない表現ですが、風流ですね。
これ以外にも同様の熟語がたくさんあります。
(収録語数の多い辞典だと載っているかと思います)
寒くなってくると、暖を取りたくなります。
昔の庶民の防寒具というと、
綿の入った褞袍(どてら)や半纏を思い浮かべる方も多いと思いますが、
実は綿(木綿)が庶民に普及したのは江戸時代のこと。
(綿についての過去ブログはこちら)
寒がりの私は、
綿が使えない時代はさぞ寒かったことだろうと思ってしまいます。
ちなみに、
着物は季節ごとに買い替えるのではなく、
寒くなったら綿を入れるなどして、
一つの着物で複数の季節に対応できるようにしていました。
生活の知恵ですね。
昔の女性にとって裁縫の習得は必須だったわけです。
そして、冬用に綿を入れた着物の綿を抜くのは四月一日。
ですので、四月一日のことを別名「わたぬき」と言います。
実際に、「四月一日(わたぬき)」という名字の方もいらっしゃいます。
庶民の暖房器具としては、炬燵も普及しました。
(炬燵は室町時代頃に登場したようです)
江戸時代の劇作家として有名な近松門左衛門も、
心中物などの中に炬燵を登場させています。
男女の密会がバレないように、
女を炬燵の中に隠すというシーンも描いているんです。
今回はここまで。
皆さまも、現代の防寒具や暖房器具のありがたさを感じつつ、
凍える大地の感覚を味わってくださいね。