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【立冬】椿の散り様とは

一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、

それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。

 

ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。

 

11月8日~11月12日頃は、二十四節気で言うと「立冬」、

七十二候は「山茶始開(つばきはじめてひらく)」と名付けられています。

 

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今日から立冬。

暦の上では冬が始まりました。

 

日中の日差しの暖かさに、まだ秋が続いているような気がしますが、

気づけば、いつの間にか虫の音は聞こえなくなっており、

ああ、冬が来たのだなぁと感じます。

 

 

今回の七十二候では、山茶を「つばき」と読んでいます。

 

でも山茶花は「さざんか」のはず。

 

どうして山茶が「つばき」になるのかと言うと、

山茶(さんさ・さんちゃ)は、椿の漢名(中国での名称)なのです。

 

日本で言う山茶花は中国では「茶梅」と書くのだそう。

 

椿も山茶花も、どちらもツバキ科の植物で、

素人では見分けがつかないくらいとても似ています。

 

開花時期は山茶花の方が先ですが、

見分けるポイントとしては、散り方が違います。

 

椿は花ごと落花しますが、

山茶花は一枚ずつ散っていくのです。

 

 

椿は首が落ちる姿を連想させるので、

縁起が悪いとして武士に嫌われたという説がありますが、

実際は、椿は武士の間で愛好されていたようですね。

 

なお、武士にとって、

切腹は武士の体面を保てる名誉の死だったのに対して、

打ち首は不名誉な死でした。

 

だから、武士は椿を嫌ったという俗説が生まれたのかもしれませんね。

 

ちなみに、武士は香を薫きしめたり、匂い袋を持ったりと、

香りに気を遣っていたようです。

 

それは戦で討ち死にしても、死に恥をさらさないように、

という武士の美学だったそう。

 

実は、香りは武士の文化ともつながりが深いのです。

 

 

さて、今回取り上げた椿。

その散り様を皆さまはどうお感じになりますか?