一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、
それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。
ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。
11月8日~11月12日頃は、二十四節気で言うと「立冬」、
七十二候は「山茶始開(つばきはじめてひらく)」と名付けられています。
* * * * * * * *
今日から立冬。
暦の上では冬が始まりました。
日中の日差しの暖かさに、まだ秋が続いているような気がしますが、
気づけば、いつの間にか虫の音は聞こえなくなっており、
ああ、冬が来たのだなぁと感じます。
今回の七十二候では、山茶を「つばき」と読んでいます。
でも山茶花は「さざんか」のはず。
どうして山茶が「つばき」になるのかと言うと、
山茶(さんさ・さんちゃ)は、椿の漢名(中国での名称)なのです。
日本で言う山茶花は中国では「茶梅」と書くのだそう。
椿も山茶花も、どちらもツバキ科の植物で、
素人では見分けがつかないくらいとても似ています。
開花時期は山茶花の方が先ですが、
見分けるポイントとしては、散り方が違います。
椿は花ごと落花しますが、
山茶花は一枚ずつ散っていくのです。
椿は首が落ちる姿を連想させるので、
縁起が悪いとして武士に嫌われたという説がありますが、
実際は、椿は武士の間で愛好されていたようですね。
なお、武士にとって、
切腹は武士の体面を保てる名誉の死だったのに対して、
打ち首は不名誉な死でした。
だから、武士は椿を嫌ったという俗説が生まれたのかもしれませんね。
ちなみに、武士は香を薫きしめたり、匂い袋を持ったりと、
香りに気を遣っていたようです。
それは戦で討ち死にしても、死に恥をさらさないように、
という武士の美学だったそう。
実は、香りは武士の文化ともつながりが深いのです。
さて、今回取り上げた椿。
その散り様を皆さまはどうお感じになりますか?