一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、
それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。
ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。
8月17日~8月22日頃は、二十四節気で言うと「立秋」、
七十二候は「蒙霧升降(ふかききりまとう)」と名付けられています。
* * *
今回の七十二候は「霧」
街中に住んでいると、深き霧をまとうという季節感は
ほとんど感じることはありませんが、
霧は秋の季語。
日本では昔から、
霞(かすみ)が現れるのは春、霧が現れるのは秋という、
美的感覚がありました。
奈良時代以前は、逆の用いられ方もしていたようですが、
平安以降は、霞は春、霧は秋という考えがしっかりと定着していたようです。
(現代では、気象用語として、霧という言葉が一年中使われていますが)
霧が秋というのは、百人一首の中にも出てきます。
村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ
(にわか雨が降った後、その雨の露も乾ききらない木々の葉に、
霧が立ち上っているよ。この景色はまさに秋の夕暮れだなぁ。)
さて、
「秋の霧」と聞いて、皆さんはどんな感情が浮かびますか?
様々なお答えがあるかと思いますが、
寂しさや悲しさといった感情を浮かべた方が多いのではないかと思います。
秋=寂しい、悲しい
という感覚は、
日本文化の中に深く浸透していますよね。
実は古くは、人の嘆きが霧になる、というような考えもあったそうです。
また、ため息のことを「嘆きの霧」と表す例もあり、
これは嘆きが深いことを霧にたとえた表現となっています。
霧は、朝霧、夕霧、夜霧など、
時間帯の言葉とともに使われたりするのですが、
秋の夕霧なんて言うと、一段と哀愁が漂う感じがしますね。
日本の古典の中には、
悲しさ、哀愁、嘆きを詠んだ和歌、描いた作品がたくさんあります。
これから秋が深まっていく時期、
ぜひ霧という季節感にも着目してみてください。