一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、
それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。
ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。
8月7日~8月11日頃は、二十四節気で言うと「立秋」、
七十二候は「涼風至(すずかぜいたる)」と名付けられています。
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今日から立秋です。
今年は梅雨明けが遅かったので、
ようやく夏本番というところですが、
暦の上では秋が始まりました。
ただ、今日から秋になったと捉えるよりは、
暦の上では、昨日までが大暑(一年で一番暑い時期)でしたので、
一番暑い時期を経てこれからゆっくりと秋に向かっていくのね、
くらいに考えた方が良いと思います。
現代は、まだまだ猛暑日も熱帯夜も続きますしね。
七十二候は「涼風至」です。
お住いの地域によっては、夜に風が吹いて、
ちょっと涼しい感じを味わっている方もいらっしゃるでしょう。
私の住んでいる地域は、涼風の到来はまだ先かなと思います。
というわけで、少しでも涼風を感じるべく、
今日は蚊帳(かや)のお話です。
蚊帳は、蚊などの虫よけとして室内(主に寝室)につるす道具ですが、
実は蚊帳をつるすことで、体感温度が少し下がるというのです。
特に麻でできた蚊帳は吸湿性に優れているため、
このような効果が得られるそう。
自然の知恵ですね。
昔は、蚊帳の角に匂い袋を掛けることが流行ったりもしたそうです。
匂い袋に使う香料には防虫効果が期待できるものもあるので、
虫よけになりますし、
匂い袋の良い香りに囲まれて寝たら、
蚊帳の吸湿性と相まって、より快適に眠れそうですね。
なお、昔は蚊帳に入ると雷の災いを避けることができるという
俗信がありました。
どの蚊帳へ行ても時平つき出され
という江戸時代の川柳があります。
時平とは藤原時平のこと。
藤原時平は、菅原道真を太宰府へ左遷させた張本人
と言われています。
菅原道真は怨霊となり、宮中に雷を落としたという伝説があるため、
上述した川柳では、
怨霊となった道真に雷を落とされてはたまらないから、
どの蚊帳も時平を受け入れなかったという意味になるのです。
江戸時代の人は、平安時代の時平や道真のことをよく知っていたからこそ、
こうやって川柳にして楽しむことができたのですね。