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【大暑】雨に寄せる恋心

一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、

それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。

 

ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。

 

8月2日~8月6日頃は、二十四節気で言うと「大暑」、

七十二候は「大雨時行(たいうときどきにふる)」と名付けられています。

 

* * *

 

今回の七十二候の大雨とは、長時間しとしと降る雨ではなく、

夕立などの激しい雨のことです。

 

このような急に降り出すにわか雨のことを、

「驟雨(しゅうう)」と呼びます。

 

驟雨というと、万葉集の一対の和歌を思い出します。

 

 

雷神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ

 

(雷が少し鳴り響いて曇ってきて雨が降らないかしら。

そうしたら貴方を引き留められるのに)

 

女性がそう和歌を詠むと、

男性はこう返すのです。

 

雷神の 少し響みて 降らずとも 吾は留らむ 妹し留めば

 

(雷が少し鳴って雨が降らなくたって私は留まるよ。

貴女が留めるのならば)

 

 

素敵なやり取りですね。

若い男女の恋模様が雨の情景とともに浮かんできます。

 

なお、男の和歌にある「妹」とは、

兄弟姉妹のことではなく、「あなた」という意味。

 

主に妻や恋人など、

男性が親しみを込めて女性を呼ぶ時の言葉です。

 

それと対になるのが「背(せ)」です。

こちらは女性が男性を呼ぶ時の言葉。

 

そして「妹背」で夫婦や恋人という意味になります。

 

 

ちなみに、

今回紹介した「雷神の」の2つの和歌は、

新海誠監督の映画『言の葉の庭』という作品に登場し、

とても重要な役割で使われています。

 

この映画では主に梅雨から夕立の季節あたりまでが

描かれているのですが、

雨の表現がとても美しいのです。

 

私も大好きな映画です。

皆さまもご覧になってはいかがでしょうか。