一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、
それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。
ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。
7月7日~7月11日頃は、二十四節気で言うと「小暑」、
七十二候は「温風至」と名付けられています。
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二十四節気が小暑になりました。
暑中見舞いを出すのは、小暑の時期からです。
今回の七十二候の「温風至」は、
「あつかぜいたる」と読みます。
梅雨明けを前に日差しも強くなり、
気温の上昇とともに暖かい風が吹く頃という意味です。
暑くなってくると、なんとかして涼みたいと思いますね。
昔、涼をとるために使われた小物の一つが扇子です。
でも、扇子は風を送る以外の使われ方もしました。
例えば、扇子に和歌を書き付けて、贈ったりしたのです。
その様子は『源氏物語』にも描かれています。
ある日、病気の乳母を見舞った際、
隣家の夕顔の花が気になった光源氏。
光源氏が夕顔を一枝折ってくるよう命じると、
その家の女主人は、
香をたきしめた白い扇子の上に夕顔の花を載せ、
光源氏に届けさせます。
その扇子に、女主人の詠んだ和歌が書かれていたのです。
なんて風流なやりとりでしょうか。
実際、光源氏は、この女(夕顔)に惹かれていくのです。
ちなみに、
扇子にたきしめてあった香は、
薫物(たきもの)と呼ばれる種類のお香です(練香とも言います)
線香のように燃やして使うのではなく、
温めて使うお香で、貴族が好んで用いました。
薫物の香りが染み込んだ扇子であおいだら、
さぞ良い香りがすることでしょう。
光源氏が夕顔と呼んだ女性の焚いていた薫物は、
一体どんな香りだったのか?
皆さんもぜひ想像してみてください。