一年を24に分けたものを二十四節気と呼び、
それをさらに3等分ずつにしたものを七十二候と呼びます。
ひとつの節気で大体15日間、ひとつの候で約5日間です。
6月16日~6月20日頃は、二十四節気で言うと「芒種」、
七十二候は「梅子黄」と名付けられています。
* * *
「梅子黄」は「うめのみきばむ」と読みます。
その名の通り、梅の実が黄色く熟す時期です。
先日、東北地方まで梅雨入りしましたが、
梅が熟す時期の雨だから「梅雨」というのですね。
なお、梅雨の語源説にはいくつかあり、
カビ(の時期)の雨と書く「黴雨(ばいう」が、
「黴」という字を嫌って、同じ音の「梅雨」になった
というのも有力説です。
ところで、梅は古典の世界でとても愛され、
多くの和歌に詠まれていますが、
それは早春に咲く花やその香りを詠んだもの。
梅の実は、どうしても影が薄くなってしまいます。
そこで、古典で梅の実が描かれているものを探してみたところ、
清少納言の『枕草子』で見つけました。
「(にげなきもの)歯もなき女の梅食いて酸がりたる」
訳・歯のない女が梅を食べて酸っぱがっているのって、みっともないわ~
こんな場面に梅の実が使われているとは、、、
同じく『枕草子』の別の章段では、
「木の花は、濃きも薄きも紅梅」
訳・木の花は、色が濃くても薄くても紅梅がいいわ
と言って、梅花を絶賛しているのに。
梅の実は、烏梅(うばい)という漢方薬として
中国から伝来したようですし、
鑑賞の対象である花と薬用の実では、
だいぶ扱いが違ったのですね。
現代人にとっても、
梅の花見には行っても、梅の実を見て楽しむという行楽は
ないですしね。
でも、梅干しをはじめ、食用としての梅は万能ですよね。
「煎り酒(いりざけ)」という調味料をご存知ですか?
日本酒に梅干しや出汁を加えて煮詰めたもので、
醤油と同じような役割をしてくれる万能調味料。
室町末期から江戸時代にかけて用いられたようですが、
最近、食料品店でちらほら見かけるようになりました。
私も購入したことがありますが、
さっぱりして品のある味でした。
夏場の食欲が落ちる時期、
煎り酒を使ってみるのも良いかもしれませんね。